愛犬家のためのマニュアル【家庭で行う応急処置】
万が一に備え、基礎的な応急処置について学んでおきましょう。
ショック状態
■ショック状態は、大量出血、強い痛みがある外傷、アレルギー、薬やワクチンの副作用、心臓機能の異変、胸の深いドーベルマンに多い胃捻転、などが原因で起こります。一刻の猶予も許されません。早急に動物病院へ向かって下さい。
■歯茎でショック状態の危険度が分かります。
犬の口を開け指で歯茎の上の方の色素のない所を押すと白くなります。元の色に戻るまで、4秒を超えるとかなり危険な状態だと判断できます。
正常時は2秒ほどで元の色に戻ります。
外傷(切り傷・擦り傷)
■出血している場合、傷口の心臓に近い部分を包帯や布で巻き、止血してから傷口を生理食塩水で洗い流します。ベストは生理食塩水ですが、流水でもかまいません。
・傷があさければ、清潔なガーゼなどで覆って暫く様子をみましょう。
・傷が深く出血がひどい場合、ガーゼやコットンで上から圧迫し包帯で巻きます。血が滲んでもガーゼを交換してはいけません。交換時に再出血の危険があります。上からガーゼを重ねましょう。そして早急に病院へ行きましょう。
・体に何かが刺さっている場合、なるべく体を動かさないように体を固定して、病院へ運びましょう。無理に抜かないようにしましょう。
やけど
■火傷の範囲が狭く、皮膚が赤くなっている程度であれば流水や氷水で5分ほど冷やし、保冷剤を包帯やガーゼで固定し病院へ。
・皮膚が水ぶくれになっている場合、生理食塩水をガーゼに含ませ患部に当て乾燥させないようにしましょう。
・いずれにしても早急に病院へ連れて行きましょう。
*緊急時の生理食塩水の作り方*
■生理食塩水は緊急時の水分補給や、広範囲の傷口を洗い流すときに痛みを与えずにすますことが出来ますことができます。火傷の処置にも有効です。いざという時に非常に役立ちますので、この作り方は基礎知識として覚えておきましょう。
<作り方>
■浄水500mlに、食塩4.5gを入れてかき混ぜれば完成です。
・保存は出来ません。
・体温に近い温度だとより吸収が良く、患部もしみることなく洗い流せます。
打撲・骨折・脱臼
■その瞬間を見ていたら判断はできますが、そうでない場合、様子を観察しましょう。
頭部を打撲していた場合:歩行がふらふらして、よだれが出ている傾向があります。
骨折:骨折部分がグラついて、あらぬ方向を向いていたりします。
脱臼:歩かない、脚をつかない、ケンケンをする素振りが見受けられます。
・これらの症状の場合、無理に固定したり抱きあげようとしないで下さい。
・クレートや台車に寝かせたまま病院へ連れて行きましょう。
誤飲
■口の中を見て、異物がまだ見える位置にある場合は素早く手で取り出しましょう。
■飲み込んでしまっていたら速やかに病院へ連絡し指示を仰ぎましょう。
■洗剤や殺虫剤などの薬品を誤って飲み込んでしまった場合、薬品によって無理に吐かせようとすると危険な場合もあります。薬品ラベルを見ながら素早く病院へ連絡し指示を仰ぎましょう。
■誤飲直後の処置として生理食塩水やオキシドールを希釈して与えるなどという方法が情報として出回っていますが、これは素人には危険な行為です。誤飲直後で最初に飼い主が行なう処置は、病院へ連絡し獣医の指示を仰ぐことです。
呼吸が苦しそう
■犬の呼吸数の正常値は1分間に20〜30回。40回を超えていたら危険です。病院へ連絡をし指示を仰ぎましょう。
■熱中症などで体温が上がっている場合、水で濡らしたタオルなどを首や身体に巻いて冷やしましょう。
・動物病院へ行くためにタクシーなどを待っている場合は、冷房を最低温度に設定し室内を冷やし、氷水を張った浴槽に入れましょう。
・車内でも冷房の設定温度を低くし、体には濡れたタオルや保冷剤で出来る限り体をつつみましょう。
・その他、熱中症が重度になると目が充血、よだれ、痙攣などの症状が見られます。一刻の猶予もゆるされません。
かかりつけの病院が診察時間外だとして待ったりせずに、他の獣医師のもとへ急行しましょう。
■症状を見て判断するよりも、“体温が40度を超えていたらすぐに病院へ”が、なによりも大切です。
日頃から を常備しておきましょう。
犬の体温の測り方
■平温値は38,5~39度です。
・肛門2~3cmのところに体温計を入れて直腸温を測ります
・体温計の先端には専用 をかぶせ使用すると良いでしょう。
犬の脈の取り方
■犬の脈は後ろ脚の内側、付け根にある股動脈でとります。
・小型犬の通常の心拍数が毎分70〜180拍、
・大型犬の通常の心拍数は毎分60〜140拍です。
万が一の出来事で脈拍数をはかる可能性もないとは言えません。
いざというときのために愛犬の平常時に脈をとる練習をしておくと安心です。
犬のための救急セット
■これらは防災時にも役立ちます。
家庭に1つ、ペット用救急セットを常備しておきましょう。
<救急セットの中には>
1:消毒薬:傷口の消毒、応急処置をする際の器具や指先の消毒に使います。
2:体温計:ペットの体温を測ります。
3:注射器・スポイト:投薬や水分補給に便利です。
4:包帯:伸縮性のある粘着タイプがおすすめ
5:脱脂綿(コットン):患部の汚れを落としたり、湿らせたりするのに便利。
6:絆創膏:小さな傷の簡易保護に。
7:ガーゼ・リント布:繊維が皮膚にくっつきにくいリント布もあると便利。
8:はさみ・ピンセット・医療用テープ・ラバー手袋・軍手:応用範囲が広いため常備しましょう。
9:犬用の薬:病院で処方された薬や、フィラリアの薬などの定期的に服用する薬、ノミやダニの駆除薬など。
■参考までに
を に入れて玄関に常備しておくと防災対策になります。
緊急時に備え動物救急病院リストアップを。
■かかりつけ医の診療時間外に動物病院を緊急で受診したいと思う場面が突然訪れるかもしれません。そんな時頼りになるのは急患を診療する救急病院です。いざという時のために自宅から近い救急動物病院を予め2〜3箇所調べて、電話番号や地図などメモしたものも救急セットに入れておきましょう。
獣医が24時間相談を受付
このようなサービスがあるということも覚えておきましょう。
・現役の獣医師による回答
・質問~回答まで最短 15 分 緊急時の質問にも迅速に対応しています。
・早朝・深夜でも相談可能 365 日 24 時間いつでも質問が可能です。